ベルギー篇(1) ディーゼルトラム・保存鉄道が走るまち
Diesel railcar AR.86(left,built in 1934) & Electric tram 10308(right,built
in 1942)
at Thuin Musee stn.
Tramway historique Lobbes-Thuin
'08 Jul.20
2008年の欧州旅行は、オランダとベルギーのトラムや保存鉄道を訪ねる旅でした。 ベネルクス三国、特にベルギーについては、保存鉄道に関する書籍などがほとんど見当たらないことから、訪問先を決めかねていました。 しかし、この旅にあたってウエブサイトを調べるにつれ、蒸気機関車や旧型ディーゼルカーの運行はもちろん、ディーゼルトラムといった珍しいトラムも動態保存されていることを知りました。 ここではベルギー国内の保存鉄道の中から、公共交通機関(鉄道・バス)で比較的容易にアクセス可能な鉄道の内、運行日に訪問できた鉄道をご紹介します。 ロブ-トゥアン歴史トラム Tramway historique Lobbes-Thuin(ASVi) ベルギー内陸の工業都市、シャルルロワ。首都ブリュッセルから列車で南に1時間程度の場所に位置し、市内にはシャルルロワ空港(ブリュッセル南空港)があり、欧州各地を結ぶ航空便が発着する街でもあります。 市の中心駅であるシャルルロワ南駅からローカル線(Erquelinnes方面)に乗り、約20分のThuin(トゥアン)駅下車。 世界遺産の一つであるトゥアンの鐘楼を目指すようにサンブル(Sambre)川の橋を渡り、川岸方向に降りたところに保存トラムの乗り場(Thuin Ville Basse停留所)があります。 この線路に沿って街を進むと、保存トラムの拠点であるトラム博物館にたどり着きます。 路線は、かつてシャルルロワ市内とトゥアンを結んでいたトラムの一部で、旧い電車やディーゼルトラムがトゥアン、ロブの市街地やのんびりした田園風景の中を走る、小規模ながら魅力的な保存鉄道です。 アン洞窟トラム Tramway of "Grottes de Han" ブリュッセルとルクセンブルグを結ぶSNCBの列車に乗り、ブリュッセルからであれば約2時間のJemell駅で下車。 駅前からバス(TEC・No.29、1〜2時間に1本)に乗り約20分の場所にあるアン・シュール・レッス(Han-sur-Lesse)は、巨大な鍾乳洞「アン洞窟」(Grottes de Han)がある観光地です。 洞窟観光の始点となる市街地のチケット売り場から洞窟入口まで観光客を運ぶミニ鉄道が、この「アン洞窟トラム」です。 しかし単なる観光鉄道ではなく1905年開業という、100年以上の歴史をもつ立派な鉄道です。 なおこの鉄道は、洞窟の見学客のみ乗車可能で洞窟入口までの片道乗車に限られます。洞窟観光を終えた観光客は、このトラムに乗車した街の中心まで、洞窟出口から十数分を徒歩で戻ることになります。 ベルギーでは有名な観光地とのことで、混雑のため今回は時間の都合で乗車できませんでした。再訪の際には乗車したいと思います。 三渓谷(トロワバレー)蒸気鉄道 Chemin de Fer a vapeur des trois vallees シャルルロワ南駅からCouvin方面行きの非電化ローカル線に乗り、約50分のMariembourgで下車。 駅から徒歩でCouvin方面に向かい数分の場所に、保存鉄道"Chemin de Fer a vapeur des trois vallees"(CFV3V)の駅と車庫があります。 この鉄道はMariembourgからフランス国境近いTreignesまでの14kmを、ディーゼルカーは28分、客車列車(SL・DL)は38分のダイヤで運転しています。 ディーゼルカーは、元・ベルギー国鉄(SNCB)の旧い車両が運転されています。他にTreignes駅に併設の博物館には、元・フランス国鉄のディーゼルカーX3998(通称「ピカソ」)などが保存されています。 蒸気機関車は欧州各国で活躍した様々な機関車が多く保存されており、当管理人の訪問日は元・ポーランド国鉄の蒸気機関車TKt48-87が稼動していました。 マルデヘム蒸機センター Stoomcentrum Maldegem(SCM) ブリュッセルから列車で西へ約40分の場所に位置する都市、ゲント。その中心駅であるゲント・セント・ピータース駅前からエークロー(Eeklo)経由ブルージュ(Brugge)行きの路線バス(De Lijn・No.58)に乗り、Maldegem stationで下車。 バス停前に建つ旧・Maldegem駅舎とその並びの建物には売店やバーも併設されており、ここが"Stoomcentrum Maldegem"の拠点となっています。 駅構内には蒸気機関車をはじめ保存車両が数多く置かれており、映画上映用の客車も置かれています。 動態保存車両は、かつてEeklo-Bruggeを結んだ路線の廃線跡の一部、Maldegem-Eekloの片道10kmの区間を走ります。 訪問時稼動していたのは、蒸機牽引の列車ではなく元・ベルギー国鉄の旧型ディーゼルカーでした。 現状では稼動している蒸気機関車は少ないものの、現在復元進行中の車両もあります。 訪問当日は、イギリス製の蒸気機関車"Fred"(1925年製)の大改修作業中で、到着したばかりのチェコ製の新しい罐を搭載する作業を見る機会に恵まれました。 |