オランダ篇 街のLRTと郊外の保存鉄道


No7742"Bello"(built in 1914)at Wognum-Nibbixwoud stn.
Museumstoomtram Hoorn-Medemblik
'08 Jul.25

オランダは、1986年に当管理人が初めて足を下した海外の地として、個人的に思い出深い国です。
22年ぶりの訪問となる今回は、主にアムステルダムやロッテルダムを初め、大〜中規模の都市を走るLRTを撮影してきました。
現在、オランダの市内電車のほとんどが最新のLRT等の車両に置き換えられていますが、旧型車だけが走る博物館路線なども残されています。
また、蒸気機関車など歴史的な車両が走る保存鉄道は数少ないのですが、いくつか存在しています。
しかし、そのほとんどが土日のみの運転であり、旅行日程と運転日が合う日がほとんどなかったことから、今回は観光目的の保存鉄道として人気が高い「ホールン-メデンブリック鉄道」を訪問しました。

アムステルダムのトラム
GVB(市内交通)
アムステルダム市内のトラム路線はGVB(Gemeentevervoerbedrijf Amsterdam)により運営され、16の環状、放射など合計80.5kmの路線網を張り巡らせています。また市民の足としてだけでなく、美術館やアンネフランクの家など、市内観光の要所を便利に結んでいることもあり、観光客も利用しやすいトラムです。
ほとんどの車両に車掌が乗務していますが、一部ワンマン運転の路線があります。
新型車両(ジーメンス・コンビーノ)の場合、入口となる車両中央部に車掌ブースが設けられ、乗車券の検札や販売など行っています。
電車の正面にある行先表示器には、系統番号横に正方形の旗のような印(ラインカラー)があります。これはその電車が走る系統を表すもので、馬車鉄道時代より路線の方向などによってある程度規則的に色や形が選ばれていたとのこと。
電光式の行先表示器となった現代も、かつての名残として残っています。

路面電車博物館
動態保存電車に乗車できる「アムステルダム路面電車博物館」は、中央駅から16系統のトラムに乗りHaarlemmermeer 下車。停留所前の古めかしい、Haarlemmermeer旧駅舎が乗り場です。
7kmの路線を、かつて欧州各都市で活躍していた旧いトラムが走ります。
但し、ここはボランティアによる運営のため、毎日の運転はありません。訪問する時は、運転日を博物館のウエブサイトなどでご確認ください。
2008年の場合、運転日は7月〜10月の日曜日のみでした。

ハーグのトラム
オランダ第3の都市ながら、王宮があるオランダの政治の中心地ハーグ(Den Haag)。その街を、2種類の市街電車が行き交います。
一つは市内各方面、および北海沿岸のリゾート地として知られるスヘーフェニンゲン(Scheveningen)方面、また、画家フェルメールや陶磁器で有名なデルフト方面を結ぶ赤とクリーム色のラインのトラム車両。
いずれもハーグ周辺の観光には、欠かせない足です。
もう一つは、。近郊都市ズーテルメールやオランダ第2の都市・ロッテルダムを結ぶ、都市間鉄道"Randstadrail"。
ハーグ中央駅を通る第3・4系統で使用されている、白と紺の斬新なLRT型車両が印象的です。
上記トラムとRandstadrail第3・4系統は、HTM(HTM* Personenvervoer NV)の運営です。

*HTM:Haagsche Tramweg Maatschappij…旧社名。

ロッテルダムのトラム
港湾都市であるロッテルダムは、オランダ第2の都市です。
今回(2008年)の訪問時、中央駅前は再開発工事中。地下鉄やトラムの乗り場が少々わかり難い状況でした。
駅から少し歩くと、再開発が完了した地区の高層ビルの下を、LRTが行き交っています。
一方、駅の反対側は、緑多い公園などがある静かな住宅地です。ここには、ロッテルダム動物園に向かう旧型トラム(11系統)が発着しています。
これらの電車は、RET(Rotterdamse Elektrische Tram)による運営です。

ユトレヒトのトラム
ユトレヒトは、日本でもおなじみの子うさぎのキャラクター「ミッフィー」生みの親、ディック・ブルーナ氏の出身地であり活動の拠点としても知られている、オランダ第4の都市です。
このまちのトラムは総延長20.5kmの路線で、Sneltram(快速トラム)と呼ばれる4両編成の高床車両が、市の中心部と南部のIjsselstein-ZuidおよびNieuwegein-Zuidを結んでいます。この路線は市内交通というよりむしろ、近郊線の役割を担っているようです。
この鉄道の運営は、オランダ国内のバス・鉄道ほか、多くの交通事業を運営するConnexxion社
"X"のロゴが入った車両が、斬新で印象的です。

ホールン-メデンブリック鉄道
丁寧に手入れされたピカピカの蒸気機関車が走る、オランダ随一の保存鉄道です。
アムステルダムからのアクセスもよく、始発となるホールン(Hoorn)へは電車で約40分程度。
この小さな蒸気機関車(Stoomtram)の牽く列車は本数が少なく、あらかじめ運転時刻を調べて行く必要があります。
しかし、アムステルダムの喧騒に疲れた時の、ちょっとした遠出にお勧めです。
この列車は、国鉄(NS)線ホールン駅の線路を挟んだ反対側にある、小さな駅から発着します。
往復この列車に乗る他に、復路は終点メデンブリックから船を利用し、エンクハウゼン経由でNS線でホールンに戻るルートも設定されていて、往きとは違う風景も楽しめます。
また、春には色とりどりのチューリップ畑の中を、蒸気機関車が牽く列車が走ります。
ただし、チューリップ最盛期の4、5月頃は運転が土日に限られ、しかも1日1往復のみ('08年の場合、4月に2往復の設定日もあり)ですので、撮影のためにはレンタサイクルやレンタカーなど足を確保した上、ウエブサイト等で運転日や時刻を確認するなど、準備と注意が必要と思われます。

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GVB(Gemeentevervoerbedrijf Amsterdam) 

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Electrische Museumtramlijn Amsterdam

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HTM(HTM Personenvervoer NV),Den Haag

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RET(Rotterdamse Elektrische Tram),Rotterdam

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Utrecht Sneltram

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Stoomtram Hoorn-Medemblik

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