スペイン・ポルトガルを巡るこの'98年夏の旅は、自分自身が今まで見ることなく終わってしまったものを探す旅、でした。
ここには載せませんでしたが、この年開催されたリスボン万博も見てきました。
既に生まれていたのに'70年の大阪万博を見ることも、都電や玉川通りを走る玉電に乗ることもできなかった・・
タイムマシンの無い現在、近い体験をするための方法がこの旅だったわけです。さて、前置きはこの程度にして・・・
全盛時より縮小されたといえ、この国の路面電車はいずれも、かつての姿をとどめています。
2004/7/5追記・現在のシントラトラムについて
リスボンのトラム (Electrico of Lisbon)
リスボンのトラムは現在5系統。ほとんどが坂道や細い道を走る、車両が小さいなど、都電など日本の路面電車とはずいぶんイメージが違うものです。
しかしなぜか、自分にとっても懐かしいモノという印象を持ったのが不思議でした。
ほとんどの車両が骨董品的に古く、現在ヨーロッパで主流の新型LRTが走るのも1路線(15系統)のみです。
リスボンのケーブルカー(Cablecars of Lisbon)
ケーブルカー(Elevador)は3路線。有名なのは市中心部にあるBica線、Gloria線で観光にも利用されますが、住宅地にあるLavra線も特徴的です。
いずれも短い距離ですが、結構人が乗っているのは写真でおわかりのように、坂が急だからです。でも歩いたほうが速い場合も・・・。
ポルトのトラム(Electrico of Porto)
ポルトガル第2の都市ポルトの市電を訪ねた時は、地図の場所に停留所がなく、道路工事中。道路から線路が撤去されていて・・・
ひょっとして廃線?と思い、廃線跡探訪に頭を切り替えドウロ川沿いを歩いていたら、車庫のような建物に市電博物館があるのを発見。
日本人などめったに来ないのか大歓迎?を受けました。
博物館のおじさんに「この電車はまだ走っているのか?」(英語)と聞いたところ、地図を指差し「ここに走っている」(ポルトガル語)との答え。
翌朝、走っていると指差したあたり、ドウロ川河口のFoz(フォス)に向かうと、足元に線路が。
線路をたどり、海岸沿いの電車道を歩いていると、向こうから1台の市電が走ってきました。
これで一安心(廃止でなかったといえ、もし運休日では何のためにここまで来たのかと・・・)。
なお、このHPを作るにあたり調べたところ、当時河岸改修の道路工事のため区間休止中で、車庫のあるBoavistaとFozに近いPasseio
Alegre間の運転だったとのこと。
また、この時撮影したBoavista車庫は、撮影の翌1999年に解体されてしまったそうです。
シントラのトラム(Sintra-Atlantico Tramway, Ribeira−Praia das Macas, 14km)
ヨーロッパ最西端のロカ岬や世界遺産のまちで知られるシントラに小さな電車が走っているとは、日本語のガイドブックには書いてありませんでした。
ロカ岬訪問とシントラのまち歩きだけがこの日の予定でした。
国鉄(CP)シントラ駅前にある観光案内所にクラッシックな電車のリーフレットが置かれているのには気づいていました。
でもロカ岬に向かうバスの車窓からみたのは、道路わきにあった廃線後といった感じの線路。本当に電車が走っているのか?
ロカ岬を訪ねた帰り、突然乗っていたバスが故障。Banzaoで次のバスを待つように、とのこと。
しかし、そこに線路があり、偶然電車がやってきた!
写真を撮っていると、居合わせたこの鉄道関係の男性に手招きされ、小さな車庫の中を見せてもらった。1台の小さな電車があった。
すぐ帰る予定を急遽変更し、Praia das Macasに向かう電車に乗り撮影開始。
英語が話せるフレンドリーなモーターマンにオープン電車の運転席の横に座らせてもらい、風を感じつつビーチのある終点Praia
das Macasへ。
2本後の電車で、シントラの町がある丘の下、Ribeiraへ戻る。
停留所横の丘を登る細い坂道が近道で、徒歩15分くらいでシントラの町に出られるよ、とモーターマン氏。
完全な観光路線らしく、最近では夏季シーズン週末のみの運転とのこと。
少々高い運賃(当時片道350ESC位だった。記憶あいまい失礼)であるものの、のんびりとした雰囲気と風景が楽しい電車でした。
2004 7/5(追記)
「シントラのトラム」=シントラ・アトランティコ軌道が、
「シントラ市営軌道」として市街地中心まで延伸し、再オープンしました。
このことについて
、「Nakao's Photo Room」の
中尾様より当BBSに詳しい情報をいただきましたので、以下抜すい・転載します。
2004/7/2
シントラのトラムですが、2年間のリニューアル工事を経て、目出度く路線再延長なって運転を再開していました。
開業100周年に当たる今年、名称もシントラ・アトランティコ軌道からシントラ市営軌道となり、新たなスタートを切りました。
車両の塗装は以前と同じですが、側面の名称が書き換えられ正面にはシントラのロゴが付きました。
新しいシントラ側の基点は鉄道(CP)のシントラ駅から王宮などの立地する歴史的市街と反対方向にあるショッピングゾーンの方にあります。
駅から徒歩で約10分程で、丁度CPのシントラ駅と一つ手前のポルタ・ダ・シントラ駅との中間位でしょうか。 運転は毎週金・土・日のみで、シントラ発が09:30、11:25、14:25、16:25、18:25で、
反対のマサンス発が10:20、13:20、15:20、17:20です。始発は途中のバンザォン発08:45のシントラ行きです。
夏季のみの限定運転ではなく、今の所通年運行を考えているとのことです。(月曜は完全運休で、火・水・木曜は団体のみ扱いです。)
1両で運行できるダイヤですが、観光案内所の話では多客時には逐次増発があるとのことでした。
実際、私が乗った日曜日は大変な混雑で、午後には3両で30分〜1時間間隔で運転されていました。
料金は1ユーロ均一で、以前より随分安くなり、並行して走る441番のバスよりお得です。 |