いよいよ今回の旅のメインである、旧・東ドイツ地域にやってきました。
この地域には、今もなお走り続ける蒸気機関車による軽便鉄道が数多くあります。今回はその中から比較的交通の便の良い場所に絞って訪ねたのですが、いずれも車両・風景・雰囲気ともに魅力的な鉄道です。
しかし、ここ旧・東ドイツ地域も車社会化が着実に進みつつあり、蒸気機関車を走らせている鉄道の多くが、観光鉄道として生き残りの道を探っているそうです。
しかしそんな雰囲気を感じさせない、「古きよき」ドイツの風景を走る列車の写真をお楽しみください。

モリー(Molli)鉄道は、ドイツ北部のハンザ都市、ロストックからローカル線で20分、Bad Doberanで連絡する900ミリゲージの鉄道です。
見どころは、蒸気機関車が牽く列車がBad Doberan駅を出発し間もなく、商店などが並ぶ街並みを、鐘を鳴らしながらゆっくりと走る場面です。
建物の壁面すれすれを進むのですが、列車のすぐ側に通行人がいたりとスリルある光景です。
市街地を抜けると、森や田園風景の中を終点まで走ります。

ラーデボイル鉄道(Traditionsbahn Radebeul e.V、レスニッツ鉄道・Loessnitzbahnともいう)はドレスデンよりSバーンで約30分、Radebeul Ost駅からRadeburgを結ぶ750ミリゲージの鉄道です。
まず住宅街の脇を通り、この地の名産「ザクセンワイン」の原料となるブドウの畑を見た直後森を抜け、湖沼や牧場などが続く、変化に富むのどかな風景の中を走ります。沿線にはワイン博物館や「モーリッツブルグ城」という観光地もあり、鉄道ファンならずとも機会があれば、ぜひ乗車をお薦めします。なおDB運営のため、ジャーマンレールパス利用可です。

デルニッツ鉄道(Doellnitzbahn)は、通称"Wilder Robert"と呼ばれ、DB線ドレスデンとライプツィヒ間にあるOschatzからMuegelnを経て、カオリン(白陶土)の産地Kemmlitzを結ぶ750ミリゲージ、約19kmの路線です。
路線の歴史は古くザクセン王国鉄道時代にさかのぼり、現在のOschatz-Muegelnの開通が1885年。
当地で産出されるカオリンをはじめとする、貨物輸送の役割を担っていました。
その後、この地方に総延長70km以上の狭軌路線網を伸ばし、1920年にはドイツ国鉄(当時DR)に引き継がれ旅客営業もされたものの、1960年代に路線も大幅に廃止・縮小、1975年には現在残る部分で貨物(カオリン)輸送が行われるのみとなり、一時はこの鉄道の存続も危うい状態となりました。
しかし、鉄道保存の動きによって1993年末に、現在のDoellnitzbahn有限会社(GmbH)による運行が開始され、貨物輸送に加えてMuegelnの児童の通学列車運行、そしてこの「伝統的機関車」の運行が始まりました。
そして2000年9月には公共交通として、Altmuegeln-Oschatz間の15kmで定期列車の運行を再開するに至りました。
(参考HP)
･･･そんな歴史を知らず、この鉄道のイベントで、ビールにソーセージを食べながら楽しんでいた管理人でした。(^^ゞ
写真の蒸気機関車"99 1561-2"は1909年製造。通常は派手な塗色のDLが牽引する客車列車が主力です。